派遣薬剤師の悲喜こもごも

元派遣薬剤師が語るリアルな現場

メンターになった派遣薬剤師との出会い

今週のお題「私のまわりのすごい人」

 

 

まだ私が派遣薬剤師を始めて間もない頃の話…すなわち大昔の話です笑。

 

とある単発派遣先で、一人の派遣薬剤師の女性と出会いました。

今でも忘れられない人です。

その人とは、たった3日間しか一緒に働いていません。

1日8時間勤務なので、トータルの時間にすると24時間ほど。

それでもその人は私にとって、今なお働く上でのメンターです。

 

未熟者だった私


当時の私は、派遣薬剤師としてまだまだ駆け出しでした。

目の前の業務をこなすだけで精一杯!

新しい現場に入るたびに緊張し、知らない薬が出てくれば慌てて添付文書を開く!

そんな毎日でした。

 

一方、その女性は違いました。

投薬は速くて、そして正確。患者さん一人ひとりに目線を合わせる。

そして薬に関する知識も圧倒的でした。

社員同士が、

「これ粉砕できるっけ?」

と相談していると、

「それは徐放剤なのでNGですね」

と即答。

私が発売されたばかりの新薬の添付文書を必死に読んでいると、

「患者さんにはこう説明すると伝わりやすいよ」

と自然にアドバイスしてくれる。

当時の私には、とても眩しく見えました。

 

ただ知識量があるだけじゃない


でも今振り返ると、私が本当にすごいと思っていたのは彼女の知識量だけではありません。

その伝え方です。


知識が豊富な人はたくさんいます。

しかし知識がある人ほど、ときに相手を委縮させてしまうことがあります。

ところが、その女性は違いました。

間違いを指摘するときも柔らかい。

知らないことを質問しても嫌な顔ひとつしない。

そして決して知識をひけらかさない。

相手が受け取りやすい形で、自然に教えてくれるのです。

 

私はその姿勢に、とても影響を受けました。

「脳ある鷹は爪を隠すって本当だな…」

 

早くにメンターに出会えたらラッキー


ある時、思い切って聞いてみたことがあります。

「どうしてそんなに何でも知っているんですか?」

すると先輩は笑いながら言いました。

「毎日あちこちの現場で働いていれば、嫌でもこうなるよ(笑)」

そして続けて、

「派遣はどこの現場でも即戦力を求められるからね。日々アップデートしないと。」

と言いました。


その言葉は今でも覚えています。

そして私は、その日から少しずつ行動を変えるようになりました。

 

まず、あちこちの薬局に臆せず派遣で行きまくる笑。様々な科目に触れる。処方箋に触れる。現場に入る。


そして、例えば派遣先が産婦人科なら産婦人科の薬をざっと予習してから勤務するのは当然ですが。

勤務中に知らなかった薬が出てきたら、その日のうちに調べる。

気になったことはメモ帳に残す。

要するに、疑問点はなるべくその日のうちに解決させるようにし始めたのです。

そんなことを続けていたら、いつの間にかメモ帳はn冊目に入りました。そうです、結構な量になっています笑。ただ、そのメモ帳に幾度となく自分が助けられました。

今でも本棚にしまってあります。


もちろん今でも知らない薬はあります。

新薬も次々と出てきます。

でも昔の自分と比べれば、知識面でかなり自信が持てるようになりました。

それは間違いなく、あの先輩との出会いがあったからです。

自分の人生の早い段階で、そのような出会いがあったことはとても幸運だったといまだに思っています。

 

自分にとって「スゴい人」の真似をする


たった24時間。

人生の中では本当に短い時間です。

でも人によっては、その24時間がその後の働き方を変えることもあります。

私にとって、その女性がそうでした。

「まだまだ未熟なので、成長せねば!成長するにはどうしたら良いか?」

そうです。真似すれば良いのです。衝撃を受けるほど「スゴい」と思った人の行動を。

 

薬剤師として迷った時。

勉強が面倒になった時。

知らない薬を後回しにしたくなった時。

私は時々彼女を思い出します。

きっとあの人なら、その日のうちに調べるだろうな。

きっとあの人なら、もっと患者さんに伝わる言葉を考えるだろうな。

そう思うのです。


今振り返ると、私が尊敬していたのは知識量だけではありませんでした。

学び続ける姿勢。

相手を尊重する伝え方。

そして、それを決してひけらかさない人柄。

たった24時間しか一緒に働いていません。

それでも私は今なお、その女性を働く上でのメンターだと思っています。